ママ留学記@ハーバードビジネススクール

2歳の息子を連れ、主人と2人揃ってハーバードビジネススクールに留学している一家の記録。日々の生活の様子に加え、MBA受験の経験談や、「ワーキングマザーとしての成功」に関する考察を共有したいと思います。

LVMHグループの考えるラグジュアリー業界の今後

今日はLVMHがメインスポンサーとして主催されたLuxury Goods Conferenceに参加してきました。

 

このカンファレンスの前夜には、LVMHのインバイトオンリーのイベントにも参加し、LVMHの価値観や今後の展望など色々話を聞くことができました。コスメティックスやスキンケア商品などを幅広く揃えているSephora USAのCEO Jean-André Rougeotさんや、REMOWAのCEO Alexandre Arnaultさん、そしてLVMH North AmericaのCEO Anish Melwaniさんなど錚々たるメンバーと直接話すことができ、非常に貴重な機会となりました。REMOWAのイニシャル入りのネームタグもプレゼントとしていただけたのも嬉しい!

 

色々な学びはありましたが個人的に面白いなと思った話を書いてみようと思います。

 

RIMOWAの買収の話

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REMOWA CEOのAlexandre Arnault

RIMOWAはもともとドイツのスーツケースメーカーだったのですが、2017年にLVMHグループ傘下に入りました。現在CEOのAlexandreさんは、このRIMOWAのスーツケースに惹かれ、グループ傘下に入る前からRIMOWAのスーツケースを愛用していらしたようです。そのうちRIMOWAのCEOと接点を持つ機会があり、AlexandreさんとRIMOWAのCEOは親睦を深めていったようですが、始めは両者共に買収の話などは一切考えていなかったそうです。そしてある時、RIMOWAのCEOから息子が会社を継ぐ意思がないから、もしよかったらRIMOWAをLVMHに買ってほしいと話を持ち掛けたそう。そして条件は、「AlexandreさんがRIMOWAのCEOになる」ということ。

 

その後、Alexandreさんはこの買収案件を進め、グループの承認を得て、若干25歳という若さでCEOに就任したのです。

 

そしてその後、マーケティング、サプライチェーン、プロダクトのラインアップなどブランドの課題に次々と手をつけ、今のRIMOWAのブランドを確立していったそうです。

 

LVMHのCEOのBernard Arnaultの息子と言え、この若さでブランドをターンアラウンドしたのはすごいなと思いました。この先もトラベラーに焦点を当てつつ、色々なプロダクトを展開していくビジョンも持たれているので、今後のRIMOWAがどうなっていくのか個人的に楽しみです。

ブランドのDNAの重要さ

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Sephora USA CEO Jean-André Rougeot

SephoraのCEOが語られていたのは、ブランドのDNAがいかに重要かということ。

当時はデパートでカウンター越しに化粧品を買うことが当たり前だった時代に、自分で手に取って化粧品を買う楽しさに焦点を当てたSephoraは画期的だったと言います。そしてその後もSephoraはそのアイデンティティーを守り続けてきたため、今の成功を収めていると熱く語っていらっしゃいました。

またSephoraには毎年色々な新しいブランドの化粧品が並ぶわけですが、生き残っていくブランドとそうでないブランドの一番大きな違いも、ブランドのDNAがあるかどうかという話をされていました。ただ売れる商品を作ろうと思って作られた商品は淘汰され、例えばDrunk Elephantのように「Clean skincare」というDNAを強く持った商品、そしてそのDNAに対するパッションを持つ起業家(ちなみにDrunk Elephantの創設者は専業主婦で、ある日突然Sephoraに開発した石鹸を持って話をもちかけたようです)のみが生き残ると。

 

カクテルパーティーの際に直接お話しするタイミングがあったので、イノベーションとDNAが対立することはあるか、またどう乗り越えるかという質問をしたところ、対立することがあったら必ずDNAを優先させるとはっきりと言い切っておられました。

リテールの今後

SephoraのCEOが仰っていたこと、またカンファレンスでのパネルでも出た話ですが、オンラインのチャネルが強くなっていくことは間違いない一方で、実際の店舗の重要性も変わらず存在し続けるという話がありました。

「Gen Z」世代と呼ばれる13-25歳の世代は、ミレニアム世代に比べ店舗に行く割合が多いそうです。経済が低迷している中生まれてきたこの世代は、ミレニアム世代に比べ、どこにお金を費やすかに非常にセンシティブであり、且つ社会との繋がりを非常に重視している世代だそうです。

そういった背景がある中、店舗での「Engagement」が非常に重要になっていくとSephoraのCEOが仰っていました。店舗では店員と話すだけで商品の購入率が50%になり、実際に商品を試した場合は70%にあがるそうです。店舗でのサービスを改善し、顧客の体験を最大化することが、店舗での売り上げ、およびオンラインでの売り上げを向上させることに重要だと仰っていました。

 

まとめ

オンラインでの購入が伸び、多くのデパートが苦しむ中、Sephoraは今後郊外への店舗展開を進めていくようです。またRIMOWAもより多くのトラベラーにアプローチするため商品ラインアップを拡大していくとのことでした。

 

両者共にこれまでのDNAやレガシーを大事にしつつ、オンラインやデータアナリティクスなどのイノベーションを積極的に推し進めてきたからこそ今日の成功があるのだと感じました。